記事 No. 003

改元へのシステムや文書の対応はお済みですか?

皇位継承、改元の日がいよいよ間近となりました。既に必要な和暦修正作業を終え、情報システムのテスト段階の企業様も多いことと思います。 そうした企業様も、まだ作業が完了していない方も、改元前に最終チェックをされることをおすすめします。一般的な要点は以下の通りです。


対象となる情報資産

電子データ、ソフトウェア、紙の文書などのうち、和暦を使っていて、変更しないと問題になるものの洗い出しに漏れ・抜けがないか、再点検します。社員の方が個別に作成している文書についても、各人が修正するように再度周知を行います。次のようなものが含まれます。


  • ソフトウェア(自社専用およびパッケージ)
  • ソフトウェアからの出力帳票、表示画面
  • 各種データベース,Excelやワープロで作成されたリストのデータ
  • ワープロ、PDFなどの文書のひな型
  • 紙の伝票、各種届出書、稟議書、封筒など印刷物
  • 古いワープロや手書きで作成された、コピーして使う文書のひな型
  • 画像形式で保存された日付などの書式、など

対応方法の検証

多くの企業様では、西暦・和暦の併用が続くものと思われます。これは対象として特定した情報資産毎に、対応方法が異なる場合があることを意味します。各情報資産に対し、和暦の継続か、西暦への変更か、さらにその具体的修正方法をどうするのか、決定事項を再確認し、決定された方法通りに修正作業が行われたか点検する必要があるでしょう。


●自社専用ソフトウェア

自社専用ソフトは主体的に修正作業を行うことになります。しかし、対応要員や資源が限られていて、改元までに全ての修正が終わらない場合は、機能の重要度により優先順位を付けて作業を進める必要が生じます。例えば基幹業務システムの出荷や受発注の日付処理、Webサイトなどでお客様が日付を入力する画面、会計システムの支払日や請求書の処理がそれらに該当するでしょう。 また、日付処理では、既に改元後の日付が平成31年の日付として入力されている場合に問題なく処理されるかどうかも重要な確認事項です。例えば3月中に5月以降の出荷日を入力していた場合などです。


●パッケージソフト

ベンダーから購入したパッケージソフトでは、ベンダーが用意するアップデートを適用することが基本的対応となります。しかし各ベンダーの対応状況はまちまちであり、面倒でもアップデートの配布スケジュールをこまめに確認する必要があります。多くの企業様に影響するであろうマイクロソフトWindows10,8.1,7やOffice製品では、改元対応の準備について公表されているものの、4月21日時点ではいまだ自動アップデート機能では配布されていないようです*1 *2。ただ、配布開始当日はアクセスが集中して応答に時間がかかる可能性があるので、今の時点で適用可能なアップデートやパッチは確実にインストールを済ませておくことが重要となります。


システム間連携

EDIなど社外のシステムとの連携では特に注意が必要です。データ送信側と受信側双方が協力し、日時をすりあわせて切替を行うようにしないと、思わぬエラーが発生するおそれがあります。充分なコミュニケーションを取ることが重要です。これはEDIに限らずファイルでのデータのやり取りも同様ですし、社内でシステム結合されている場合でも、各システムの担当部署が異なるような場合は、外部と同じようにコミュニケーションを取ることが重要です。


その他の対応

●合字の問題

「㍻」のように全角1文字の大きさに2文字を組み合わせて表示した記号を合字といいます。令和の合字は、そのソフトまたはフォントのベンダーからのアップデートが必要です。しかしベンダーの中には対応しないことを表明しているところもあり、また対応する場合でも遅くなるものと見られます。もし合字をこれまで使ってらしたなら、この機会に文書レイアウトの見直し等で通常の文字に置き換えることをご検討されてはいかがでしょうか。

●祝日の変更

元号表示の問題ではありませんが、国民の祝日が変更されますので、必要に応じ業務スケジュール、システム運用カレンダーに反映されるよう、注意する必要があります。

●年末・年度末等特有処理

使用頻度が少ないデータや文書の洗い出しに漏れがないかどうかも、チェックポイントの一つになります。社内ではがき印刷ソフトで年賀状などを作成している場合がこれにあたります。特に担当者が異動や退職で不在となっている場合は要注意です。

●フォローアップ

もれやミス、システム修正による想定外の影響などは、どうしても起こりがちです。今回の改元対応に限ったことではありませんが、変更を実施してからも、1週間後、1ヶ月後などマイルストーンを決めて計画的にフォローアップを行うことをおすすめします。


*1 4月26日、マイクロソフト社からアップデート用プログラムの配布が始まりました。ただ、Windows10については、最新バージョンであるビルド1809用のものが未配信のようです。これは1809用のアップデートのみ何らかの問題解決が遅れていることを示唆しています。いずれ1809用のアップデートも提供されるものと思いますが、このことから適用にあたっては慎重なアプローチを取ることを推奨します。具体的には、社内の1809用アップデート対象PC全てに適用する前に、テスト用のPCにインストールし、お使いのアプリケーション(メールソフト、基幹システム、会計ソフト、データベース、CADなど)を実際にテストし問題がないか確認した上で、全社の対象PCに適用します。また、万一の場合に備え、アップデート適用前にデータのバックアップを取っておきます。ご参考にマイクロソフト社の改元関連ページへのリンクはこちらです。

新元号対応へのマイクロソフトの取り組み

*2 5月2日および3日、マイクロソフト社からWindows10バージョン1809用のアップデートもリリースされました。これにより和暦日付形式で令和の日付が正しく表示されるようになりますが、今のところ自動更新では配信されず、ユーザーが手動でインストールできるオプションとして提供されています。上述のように、社内のPCへの適用にあたってはテストPCで一旦確認することをおすすめします。また、このアップデートはWindows Server 2019と共通ですが、5月3日リリースの最新ビルド17763.475では、プライマリーDNSサーバーからセカンダリーDNSサーバーへのゾーン転送が失敗する事例が確認されているようですので、Windows Server 2019への適用は特にご注意ください。


(改元へのシステムや文書の対応はお済みですか? 終わり 2019.05.04更新)


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